【自戦記解説】
対ダイレクト向かい飛車の考え方①

こんにちは。将棋ブロガーの早峰です。今回は将棋俱楽部24の自戦記解説です。

戦型は先手番の筆者が居飛車、後手番の対戦相手がダイレクト向かい飛車で対抗系になりました。

それでは、初手から1手ずつ解説していきます。

☗2六歩

先手は初手に飛車先の歩を突き、居飛車戦法を明示しました。

対戦時の筆者のレートはR2336です。先手番なら居飛車を指すと決めていました。

☖3四歩

後手は初手に角道を通して角を活用します。

対戦相手の対戦時のレートはR2303です。

☗7六歩 

先手も角道を通して角を活用します。

8八角成

4手目にして後手から角交換をしてきました。

この時点で相手の戦法は一手損角換わりか角交換振り飛車と予想していました。

☗同銀

先手は当然、銀で角を取り返します。

先手は手順に銀で角を取り返したため、1手得をしています。

☖2二銀

後手は左銀を2二の地点で活用しました。

この手は先手の☗2五歩に対して☖3三銀が間に合うようにしたものです。

☗4八銀

右銀を活用し、4七と5七の歩にヒモを付けます。

角交換型の将棋は慎重に駒組みを進めるのが大切です。

☖3三銀

後手は3三の地点に銀を活用し3四の歩にヒモを付けつつ、先手の☗2五歩を先受けしました。

後手はギリギリまで戦型選択を保留しています。

☗6八玉

先手は『居玉は避けよ』『玉飛接近すべからず』の格言に従って玉を囲い始めます。

この時点で後手が一手損角換わりだったら玉をコンパクトに囲って早繰り銀、角交換振り飛車だったら持久戦で戦うと決めていました。

☖2二飛

この手で後手の戦法はダイレクト向かい飛車と判明しました。

一般的な角交換振り飛車は居飛車の☗6五角を防ぐために飛車を4筋に振ってから2筋へと振り直し、飛車先の逆襲などの攻めを狙います。

しかし、ダイレクト向かい飛車は4筋に飛車を振る1手を省略して、いきなり飛車を2筋に振り、手得を活かして飛車先の逆襲などの攻めを狙う戦法です。

☗6五角

この手は☗4三角成と☗8三角成の両狙いで先手は確実に馬を作ることが出来ます。

しかし、後手にも用意の切り返しがあります。

なお、☗6五角を指す時に注意するべきことは後ほど【補足解説①】にて解説します。

☖7四角

この手が後手の用意していた切り返しです。☗4三角成を防げていませんがそれも織り込み済みです。

なお、☖7四角以降の指し手は定跡手順ですので丸暗記を推奨します。

☗4三角成

先手は当然、☗4三角成と馬を作ります。

ここで1歩得できたのは大きなポイントになります。

【補足解説①】

対ダイレクト向かい飛車の序盤で☗6五角を打つ時に注意するべきことを解説します。

本譜の☗4八銀に変えて☗9六歩とした局面を見ていきます。(下図)

本譜と同様に☗6五角☖7四角☗4三角成とすると、先手の4七の歩にヒモが付いていないため後手にも☖4七角成と馬を作られてしまいます。

☗6五角を打つ前に4七の歩にヒモが付いているかを確認しましょう。

☖5二金右

この手で先手の馬が捕まってしまいました。

後手が☗4三角成を許したのはこのためです。

なお、同じようでも☖5二金左は危険を伴う場合があるので【補足解説②】にて解説します。

【補足解説②】

馬を捕獲する時に☖5二金左では危険な場合を解説します。

本譜の☗6八玉に変えて☗2五歩とし、以下は本譜と同様に☗6五角☖7四角☗4三角成とした局面を見ていきます。(下図)

☖5二金左に対して☗2四歩が先手の反撃です。

次の☗2三歩成が厳しいため、この歩は取る必要がありますが☖同銀では☗3四馬と馬を逃げられます。

☖同歩と応じる手には☗2三歩が継続手で、☖同飛に☗3二馬で飛車が捕まってしまいます。

最終手の☗3二馬は4一に金がいれば成立しなかった手なので、居飛車が飛車先の歩を突き越している時の馬の捕獲には注意が必要です。

☗同馬

馬が捕まってしまったので金と交換します。

駒損が確定している時はなるべく価値が高い駒と交換を挑むことが大切です。

☖同金

後手は当然、金で馬を取り、この瞬間は後手が角金交換で駒得をしています。

玉で取ることも出来ますが金の方が無難な選択です。

☗7五金

先手は先ほど取った金をすぐに打ち、後手の角を捕まえることに成功しました。

この辺りまでは定跡手順として認知度が高いため手が早く進みます。

☖6四歩

この手は歩を動かして6三の地点に角の逃げ道を作り、角金交換を催促した手です。

この手に対して欲張って☗同金とすると☖5五角の金銀両取りで後手が優勢になります。

☗7四金

先手は角を逃げられる前に角を取り返しました。

これにより再び、お互いが角を持ち駒にすることになりました。

☖同歩

後手は金を取り返して一旦局面が落ち着きました。

先手は1歩得、後手は持ち駒の金が主張の将棋になります。

☗4六歩

この手は角交換型の将棋で好形とされる腰掛け銀に組むための1手です。

また『相手の歩のない筋の歩を伸ばせ』という格言に従った手でもあります。

☖6二玉

後手も『居玉は避けよ』『玉飛接近すべからず』の格言に従って玉を囲い始めます。

☗4七銀

先手は銀を活用し4六の歩にヒモを付けつつ、腰掛け銀に組む準備をしています。

☖7二銀

この手は右銀で玉頭を守るための1手です。

☗3六歩

先手は3七にスペースを空けることで桂馬の進路を作りました。

桂馬の頭は弱いため先に銀で桂頭をカバーしています。

なお、ここで☗8二角は☖7三角という受けがあるため成立しません。

☖6三銀

後手は銀を玉頭に配置し右玉のような構えになりました。

☗7八玉

先手はひたすらに玉を固めて持久戦にする方針です。

後手は玉を固く囲うのが難しい陣形なので駒組みが続けば先手の作戦勝ちが見込めます。

なお、ここでも☗8二角は☖7三角という受けがあるため成立しません。

4二飛

先手が☗2五歩を決めていないため、狙いを飛車先の逆襲から4筋へと変えた手です。

また、この手で先手は4七の銀が動かせなくなったため、歩のいない筋を飛車でカバーした手とも言えます。

☗5八金右

先手は離れていた4九の金を5八に上がり4七の銀にヒモを付けました。

この1手により先手陣の駒の連携が良くなりました。

なお、対ダイレクト向かい飛車では3九の地点に利きがなくなってからは常に☖3九角☗3八飛☖2八金という筋が発生するため注意が必要です。

詳細は【補足解説③】にて解説します。

【補足解説③】

前述した通り対ダイレクト向かい飛車では3九の地点に利きがなくなってからは常に☖3九角☗3八飛☖2八金の筋が発生します。

しかし、この筋が成立する局面は非常に限られています。

本譜の☗5八金右に対して後手が☖3九角☗3八飛☖2八金とした場合を見ていきます。(下図)

☖2八金以下☗3九飛☖同金☗3七桂とした局面は後手の金の働きが悪くなっています。

先手はこの後、☗6六角から☗4五桂など自然な攻め筋があり、先手が指しやすい局面と言えます。

☖7二玉

後手は玉をさらに深く囲い、8二の地点の隙を消しました。

部分的には右玉でもよく見られる形です。

【自戦記解説】対ダイレクト向かい飛車の考え方②へ続きます。

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