はじめに
こんにちは。将棋ブロガーの早峰です。
今回は、振り飛車党向けの超シンプルな居飛車穴熊対策を解説します。
今回のテーマは、再現性が高くシンプルな駒組みで攻め続けるです。
居飛車穴熊対策の右四間飛車
居飛車穴熊に対して振り飛車側が飛車を振り直し、右四間飛車として戦う変化があります。(下図)
この変化は振り飛車側が主導権を握れるという利点があります。
居飛車穴熊対策の右四間飛車が抱える問題点
しかし、この変化には明確な問題点が存在します。
それは、3筋を反撃されると自玉がすぐに危険になることです。(下図)
3筋の反撃が美濃囲いの弱点であるコビンを直撃しているため、攻めの反動が厳しくなっています。
また、将来的に後手から☖1五角と飛び出す手が先手の飛車に当たってしまうのも難点です。
そこで今回は、美濃囲いの一瞬の固さを保ちつつ、右四間飛車として戦う変化を模索していきます。
右四間飛車+端桂の変化
今回解説するのは、右四間飛車+端桂の変化です。(以下、☗4五歩の局面を基本図とします。)
右四間飛車+端桂の利点はズバリ4つあります。
①駒組みがシンプルなため基本図の再現性が高い。
②美濃囲いの一瞬の固さを保ちつつ、飛角銀桂を使って先攻することができる。
③基本図以下の先手の指し手が分かりやすい。
➃最初に振った飛車の位置や先後に関係なく使うことができる。
実戦的に使いやすい条件が見事に揃っています。
基本図以下の後手の指し手
基本図以下、後手からの対応として考えられる手は以下の4つです。
①☖同歩 ②☖3二金 ③☖4二飛 ➃☖2四歩
それぞれ順に解説していきます。
基本図以下、☖同歩
①☖同歩はぶつかった歩を払う普通の手なので、実戦で指される確率が高そうです。(下図)
☖同歩以下、先手は☗同銀と銀を前に進めていきます。
☗同銀に対して☖4四歩は、☗2五桂☖2四角から4四で駒を精算して先手が指しやすくなります。
よって、☗同銀に対しては☖7七角成☗同桂☖4四歩が後手の正しい対応です。
☖4四歩以下、先手は☗7一角と攻めを繋げていきます。
☗7一角以下、駒を4四で精算した局面は後手の歩切れもあり、先手が実戦的に指しやすい将棋です。
なお、手順中の☗7一角に対して☖4二飛は☗3四銀があるため先手が優勢になります。
基本図以下、☖3二金
②☖3二金は離れ駒だった4一の金を穴熊に合体させる実戦的な1手です。(下図)
☖3二金には☗2五桂☖2四角☗4四歩と攻めていきます。
☗4四歩以下、角と金銀の交換で二枚変えとなり、先手が実戦的に指しやすい将棋です。
ここでも後手は歩切れが響いています。
基本図以下、☖4二飛
③☖4二飛は飛車を4筋の守りに使う受け師好みの1手です。(下図)
☖4二飛以下、☗2五桂☖2四角の交換を利かせてから☗8六歩が面白い仕掛けです。
☗8六歩以下、☖8二飛には先程と同様に☗4四歩から二枚変えで十分です。
また、☗8六歩以下、☖同歩には☗4四歩☖同金☗8六角(☗4四歩に☖同銀は☗同飛☖同金☗5三銀)で先手ペースです。
よって☗8六歩に対して☖4五歩が後手の最善手です。
☖4五歩以下、☗6四歩☖同歩☗4五飛が次に☗8五飛を狙った手になっていますが、後手に有効な受けがないため先手が十分です。
基本図以下、☖2四歩
➃☖2四歩は先手の☗2五桂を防ぐ意味があります。(下図)
☖2四歩以下、先手は☗2六歩と2筋を争点にします。
☗2六歩以下、☖3二金が自然な駒運びですが、☗2五歩と仕掛けて先手ペースです。
穴熊に対して2筋の歩が利くと終盤で王手をかけやすくなるため、先手が有利な条件で終盤戦を迎えることができます。
まとめ
- 振り飛車が飛車を振り直し、右四間飛車として戦う変化は、攻めの反動が厳しい。
- 右四間飛車+端桂の変化は、美濃囲いの一瞬の固さを保ちつつ攻めることができる。
- 基本図以下、先手の攻めが分かりやすいため、先手が実戦的に指しやすい将棋になる。
おわりに
いかがだったでしょうか。
右四間飛車+端桂の変化をAIで解析すると後手が指せるようですが、形勢はほぼ互角であるため実戦的には先手が勝ちやすいと思います。
実際に筆者が高段者を相手に試してみましたが、十分に通用します。
この変化は特に早指し将棋で威力を発揮するので、是非とも実戦で使ってみて下さい。
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